キャスト

原作を書いたのは21年前でした。でも、映画は「いま」の物語になっていました。
それが原作者としてなによりうれしい。最高の勲章です。
三島監督はじめ、スタッフ、キャストの皆さん、ありがとうございました。

重松清

「幼な子われらに生まれ」に、絶賛の声!

そう、家族はできるのではない。自然に生まれるものでもない。育てていくものだ。繊細で、いともたやすく傷つき壊れていくものだから、そっと、最大限の細やかさをもって作り上げていかねばならない。

血がつながっているというだけでは、家族はできない。血縁がないからといって、家族を作れないわけでもない。血縁は、家族の十分条件ではないし、ときには必要条件でさえない。あるべきは、家族を作る、という意志だ。
と、そんな思いを繰り返し自分に言い聞かせながら観た。

主人公のパパの誠実さ、不器用さに共感し、そのつらさも哀しみも、切れたくなる気持ちもすべてわかるよと、全面的に感情移入しての観賞。家族の関係をめぐる行き違いや危機のエピソードがどれもリアルで、主人公はどう反応する? 
映画はここをどう解決する? と、息を詰めて観続けた。

そしてこれ以外にはありえないよなと納得のエンディング。このあとあの家族は全員が同志愛さえ手に入れたことだろう、と思える感動に包まれる。
これは、「規格外」かもしれないが、しかしいまの日本の「真実の」家族のありようを正面から描いた傑作だ。観賞後しばらくは、平静に戻るための深呼吸が必要だった。

驚くべきは子供たちの演技。これってほんとに子役につけた芝居なのかと疑いたくなるくらいに自然だ。子供の出るシーンは、しばしば演出やカメラの介在さえ感じさせなくなる臨場感。
きわめて良質のドキュメンタリーを観ているときの感覚に近かった。そういえば、三島監督はもともとドキュメンタリーの出身だったな。

佐々木譲(作家)


血は水よりも濃いか、それとも水も馴染めば、血よりも尊いか。継ぎ接ぎだらけのありふれた「家族」の絶妙な「親和力」。引きつけ合う力と反発し合う力のケミストリーに、夫とは、妻とは、子どもとは、そして人間とは何かが見事に活写されている名作だ。その感動は、森田芳光監督の『家族ゲーム』を超えている。本年度、邦画のベストワンに違いない。

姜尚中(熊本県立劇場館長/東京大学名誉教授)


シャツのボタンを襟元までとめて、嘘偽りなく生きてきたはずの男の、それでも叫びたくなるような生きることの難しさを、類まれな繊細さで刻みつける浅野忠信の驚くべき演技力に、誰もが自分を、あるいは自分の愛する人の背中を見つけずにはいられないだろう。

青山真治(映画監督)


幸せな再婚家庭を満喫のはずが、実子誕生を前に妻子らが秘めていた心の傷と血族への執着が露呈する。困惑し、自暴自棄になった男に家族再生を決意させたのは「わが子の父親たち」がみせた優しくも哀しい父性だった。

宮本まき子(家族問題評論家・家族カウンセラー・エッセイスト)


小さな家族の物語に、キャストのみなさんのかつて観たことのない魅力があふれていました。

坂元裕二(脚本家「カルテット」など)


家庭という枠に縛られた他人どうしの、もがけばもがくほど泥沼にはまっていく。
家族ではなくなっても楽にはならず、新たな苦しみが待っている。
ところがなぜか、それでもやっていけると思わされる。 登場人物の誰もが愛おしいからだ!

高田亮(脚本家「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」など)


私たちがこの世界で何を体験するのか。もしも自ら選んで生まれてくるのなら、
これは家族という体験を求めた孤独な魂たちの物語。家族それぞれがぶつかり合い、
それでも求め合い、ようやく寄り添っていく。そのリアルさに胸が震えます。

成田名璃子(作家)


血がつながっているかどうかはきっと問題ではない。どれだけ自分の体温でぶつかり合えたかが重要なのだ。
家族になるのってほんと面倒くさくて難しい。でも、だからこそ、とてつもなく愛おしい。
いつか、僕も家族を描かなければな、と思った。三島監督の最高傑作です。

白石和彌(映画監督)


この家族の数年後を想像してみた。幸せかもしれない。終わってるかもしれない。抜き差しならぬ瞬間瞬間を大人も子供もなんとか耐え、保っている。これぞ平凡な家庭の素顔。団欒の灯りの正体なのである。

岩井俊二(映画監督)